歯科の専門医とは?
現在の歯科医療の現場では、多くの患者さんが口腔のさまざまな問題点について解決したいと考えるようになってきました。もっと食べやすいように、もっと自然に、もっと美しく、もっと清掃しやすいように・・・。
しかし現状ではこのようなさまざまな問題点を1人の歯科医師だけですべて対応することは困難になってきています。わが国では、一般に開業医はGP(歯科全般を担当する歯科医師)とよばれていて、それ以外は大学病院での治療(親知らずの抜歯など)になります。
しかし欧米ではこの他に専門開業医というものがあります。日本でも口腔外科、矯正、小児歯科の専門開業医院はありますが、それ以外に歯周病専門医、インプラント専門医、補綴専門医(歯の修復、義歯、審美、咬み合せ等を担当)がそれぞれ開業し、一般開業医がカバーできない専門性の高い分野を担当しています。
歯周病専門医制度
現在の日本では歯周病患者さんが多く、45歳から54歳が最高で88.6%の人が何らかの歯周病所見があるとされています(厚生労働省歯科疾患実態調査)。そこで、日本歯周病学会(NPO法人)は一定の研修歴、臨床業績、研究業績をクリアした者に学会が認定する専門医制度を発足させました(平成16年12月現在:694名)
。しかし、その多くは大学病院勤務や首都圏で開業しており、圧倒的に数が不足しています(歯科医師1000人中8人)。
最新のインプラント治療
インプラント治療は、チタン製の人口歯根をあごの骨に埋め込む手術が必要になることから、従来、口腔外科医が担当していました。現在でも事故後や腫瘍摘出手術後のインプラントでは口腔外科医が担当することがほとんどです。しかし、現代のインプラント治療は、少し様変わりしてきました。特に歯科医療先進国では、インプラント治療の多くを歯周病専門医が担当しています。その理由は
- 全ての歯が抜歯されて歯が1本もない方以外は、インプラント以外の残存している歯に対する歯周病のケアが重要である。
- 審美的なインプラント治療を行うには、歯周病専門医が行っている歯周形成外科の技術が必要である。
- インプラントに必要な骨が不足している場合、歯周病専門医が行っている歯周組織再生法の技術を応用し、骨再生治療ができる。
包括的歯科治療
欧米では、一般の歯科治療を開業医が行い、専門性の高い治療は専門医が行う診療スタイルが一般的であると前述しましたが、実際の治療では一般開業医と専門医、専門医と専門医が連携して1人の患者様を治療しています。このような治療方式を包括的歯科治療(学際的歯科治療、インターデシプリナリー・アプローチ)とよびます。この方式はメリットが多いのですが、患者様は複数の受診する必要があったり、各歯科医院どうしで連携が不十分だったりするデメリットも存在します。
そこで当院では、歯周病・インプラント専門医(院長 牧草一人)と補綴専門医(副院長 岡村大)が同一医院で診療を行うことで、患者様は1つの医院を受診するだけですみ、専門医間の連携もスムーズに行われています。