インプラント治療について最近思うこと
11 月 9th, 2008
1952年、今から半世紀以上も前に「スエーデンのブローネマルク博士が骨とチタンが結合するという事実を発見した」ことはあまりにも有名な話です。
その後、紆余曲折はあったものの、50年以上の基礎的・臨床的研究がなされて、現在では98.3%(日本の臨床施設で行われた約5000本のインプラントの統計)、当院の5年間統計では99.5%という非常に高い成功率が得られるようになりました。 つまり、インプラント(チタン)は骨に結合して当然なのです。
ここからが問題です。
インプラントは経験の浅い先生が正しくない場所に入れても骨と結合してしまうのです。当然ながら、正しくない所に入れたインプラントの上には不適切な歯ができてしまいます。「不適切な歯」は、見た目が悪い、掃除しにくい、かめないといった結果になるのは当然です。
私は年に数回アメリカの学会やシンポジウムに行き、そのついでに専門医のオフィスを訪問します。彼らも私と同じことを考えていて、多くの先生が「将来の自分たちの仕事の半分は自分でインプラントを入れていて、後の半分は開業医の入れたインプラントを取り除くことだろう」と言っています。
アメリカでも、専門的なトレーニングを受けないで「みようみまね!?」でインプラントをする先生が増えているとのこと。実際に私の医院でも他の医院で入れたインプラントへのリカバリー処置は年々増加してきています。私にとってインプラント治療は大切なものであり、患者さんにとっても素晴らしい治療法だと考えています。
その愛すべきインプラントを除去するといった仕事は、できれば二度としたくないというのが私の本音です。