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日本歯周病学会 春期学術大会<2009年5月15日(金)-16日(土)>の専門医教育講演に参加して思うこと

5 月 18th, 2009

認定医教育講演 5月16日(土)

 

学会では、専門医制度を設けており、専門医資格を取得したり更新したりする場合には、この教育講演に出席し、参加証明のスタンプをネームカードに押してもらうのです。それがポイントとなり、資格取得や更新には必要になります。したがって、毎回、会場に入れないほどの参加者が集まるのですが、私はすでに専門医であり、さまざまな公用からここ2年ほど参加していませんでした。今年もこれまで通り盛況だったのですが、問題は講演の最後のところです。

 

 演者の先生が最後に謝辞を述べられ、感謝状を贈呈されている時に、多くの若い先生がぞろぞろと席を立ち、出口に向かって長い列を作っているのです(写真)。このような行為は失礼極まらない話で、彼らの関心ごとは、「ただ参加証明のスタンプさえもらえばいい」としか見えません。では、そのような考えの人が専門医になる資格があるのでしょうか?

 演者の先生が、お世話になりご指導いただいた先生への謝辞を述べられたり、学会からの感謝状を受け取られるセレモニーに共感し、拍手をすることは、専門医以前、歯科医師以前に人として当然のことであると私は考えます。もしも私の考えが「古い」のであれば、それはとても残念なことです。

 私は、質問があったのですが、このような状態で質疑応答の時間も割愛され閉会したため、とても残念でした。

 

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この時点で、演者はまだ壇上にいるのです。

最後のスライドが終わる前からこのような状態でした。

 

 

日本歯周病学会 春期学術大会
岡山コンベンションセンター 5月16日(土)

 

土曜日は日本歯周病学会に出席してきました。この日の午後は、私の口腔外科の師である坪井陽一先生(元京都大学歯科口腔外科講師)が講演をされました。

 

患者さんに優しいインプラント治療とはなにか?

   ─即時負荷インプラントと低侵襲組織再生治療のコンビネーション

 

 

 

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 先生はこれまでのご自身の足跡を紹介しながら、口腔外科専門医として組織再建に取り組んできた時代から組織再生へと変化してきた背景を実際の臨床症例を提示しながら解説されました。特に、患者さんベースの治療計画の立案が重要であり、低侵襲による組織再生治療や即時負荷インプラント治療についてのお考えをお話されました。坪井先生は、講演で「私にGBR

(骨再生誘導法)を教えてくれたのは牧草先生です」と言っていただき、私はとてもうれしく思いました。

 

最後には、司馬遼太郎の文章をご紹介され講演を締めくくられました。

 時として、「あまり高尚な学問だけに身をおいていると、実際の人の社会とはかけ離れたところに行ってしまい、現実を見失ってしまうことになる」といった内容のものでした。私の考えも全く同じで、科学という言葉を自然科学だけと捉えて、患者さんの背景に眼をそむけるのは医療の本質からはずれてくると考えます。

 

 

 

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座長の鴨井久一先生(日本歯科大学名誉教授)、坪井先生と私

 

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大阪歯科大学歯周病学講座所属で当院勤務の奥野先生、阿部先生と坪井先生

 

 

admin 医療従事者の部屋, 国内出張

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