2010 年 新しい論文です!
2 月 13th, 2010
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毎月一回出版される、ザ・クインテッセンスの2月号の巻頭特別企画として私の論文が掲載されています。
テーマは、「オーバートリートメントとアンダートリートメントの境界とは?」というもので、日頃、私が提唱している「科学」と「患者さん本位」の融合、「科学的根拠に下支えされた患者本位の医療」について考えるものです。以下にこの考えのベースのお話を記載します。
吉田松陰が平戸に留学中に読んだ清の時代の書によると、
「古(いにしえ)にならえば今に通ぜず、雅を選べば俗にかなわず」
と書いていたといいます。
これは、「古い学問ばかりを勉強していると、現今ただいまの課題がわからなくなる。また、格調の高い正しい学問ばかりやっていると、実際の世界の動きにうとくなる」という意味です。
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もっとわかりやすく言えば、「時として、あまり高尚な学問だけに身をおいていると、実際の人の社会とはかけ離れたところに行ってしまい、現実を見失ってしまうことになる」といった内容のものでした。私の考えも全く同じで、科学という言葉を自然科学だけと捉えて、患者さんの背景に眼をそむけるのは医療の本質からはずれてくると考えます。
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牧草バーション
「基礎医学の世界ばかりを勉強していると、現今ただいまの臨床がわからなくなる。また、エビデンスの追求ばかりやっていると、実際の患者の立場にうとくなる」
となります。ここで大切なことは、どちらに傾くのでもなく、バランス感覚を磨き、個々の患者さんに最適の治療を身につける努力と、それをしっかりと伝える話術を身につけることです。
今月号は、巻頭特集ということで、本の表紙も私の論文をモチーフにしたデザインとなっています。